『教育』政策方針

維新政党・新風本部政策委員会
平成九年八月

〈戦後教育の現状〉

 我が国の戦後教育は、米国教育使節団報告に基づき、占領基本法たる現行憲法施行に合はせて昭和二十二年に教育基本法が施行され、その枠組みが形成された。

 この占領下に作られた教育理念や教育制度は、米国直輸入の個人主義・自由主義・民主主義といふ概念によつて我が国の歴史・伝統・文化を否定するための占領政策の一環に過ぎなかつた。そして戦後の東西冷戦構造は、我が国でも保革対立のイデオロギー闘争を生み、左翼勢力は自由・平等・平和といふ占領政策上の理念を絶対価値として教育の場に持ち込み、自らの勢力拡大に利用した。その結果、我が国では道徳や国家意識は否定され、心にとげを持つゆとりのない利己的な子供達が多く育てられて来た。又、戦後の学制はそれまでの複線型学制から米国式の単線型学制へと変更された。高度経済成長期以降、教育熱心な国民性と相まつて進学熱が高まり激しい受験競争が生じた結果、学校教育は受験第一主義の歪なものとなつた。そして、ここ十年来は、いぢめにまつはる不登校や学業について行けない学校不適合の子供達が多生し、社会問題となつてゐる。

 今日云々されてゐる教育の荒廃とは、教育の理念や目的が抽象的で具体性に乏しい戦後の教育基本法に起因するが、それは、その成立時から左翼イデオロギーの影響下にあつて自国の伝統や文化を無視して行はれた戦後教育の特殊事情にある。今日、我が国の教育は完全に破綻し、もはや中教審答申のやうな小手先だけの制度いぢりではなく、根本的かつ全面的な改革を必要としてゐる。

〈教育の理念〉

 我が国は三千年近い歴史を有し、その中で培はれた文化と伝統を今日に伝へてゐる。その伝統的価値観や習慣が様々な変遷を経て近代化され、社会秩序化され、制度化されてゐる。そして明治以降、日本人全般の良識的価値観を学校教育の指針として示されたものが教育勅語である。

 教育勅語は、我が国の歴史と文化を踏まへつつ近代化といふ時代的要請に応へながら、日本人としての徳性を形成するといふ教育の本質を示したものに他ならず、それは今日においても古今の真理として些も変はりはない。即ち、教育勅語に示された精神こそが我が国の教育理念の基本であり、その精神を現代に復興することが我が国の教育に最も必要とされてゐる。

〈教育の目的〉

 教育においては、学校教育・社会教育・家庭教育が三位一体となつて始めて我が国の伝統文化を身につけ、智・徳・体を備へた素晴らしい国民を輩出することができる。教育の目的は、教育勅語に示されてゐる徳目の涵養から発し、社会人として各々の分をもつて国家社会に寄与することにあり、ひいては世界人類の福祉向上に繋がる。

〈教育行政〉

 現在の教育及び教育行政の根拠となる教育基本法は、現行憲法と同じく占領政策の一環であり、その内容は我が国の伝統的価値観や文化に則したものではない。よつてこれを廃止し、我が国本来の教育理念・目的に合致した教育法を制定する。

  同時に、これらの目的を達成するために行政機構の改変、教育制度の改革も行ふ。

〈教育制度〉

 現在の六・三・三・四制の単線型学制を複線型学制に改め、義務教育後の進路選択を多様化し、中途での進路変更を容易にする。則ち、社会と学校間、学校と学校間の移動を容易にし、やる気のある者が様々な機会に、様々な立場で教育を受けられる学制を導入する。

  修業年数については、就学年齢の引き下げも含め別途に検討するものとする。

〈学校教育〉

◎初等教育の改革

 初等教育では、団体生活の営み方を通じて社会性を身につけ、公共意識や情操教育のために道徳教育を強化し、何が善悪であり正義であるかの価値判断を具体的に教へ、読み・書き・四則計算の基礎学力を確かなものにする。そして結果に到るまでの頑張りを重視し、受験偏重教育(詰め込み教育・丸暗記)を是正するとともに、日本人としての国民教育として国語教育を重視し、古典教育(簡単な古文・漢文)を行ふ中で正仮名遣ひの使用、学年別配当漢字の上限を撤廃する。又、小学校での外国語教育導入は慎重を要する。

◎中等教育の改革

 現在の中等教育は、中途半端なものであり、学制改革全体の中での位置づけを教育内容を含めて検討し直す必要がある。高等教育が専門研究主体となる学制改革の中では、中等教育の内容が一般国民教育として重視されねばならない。又、どのやうな学制であれ、中等教育では国語教育や道徳教育とともに国史教育が重要である。

◎高等教育の改革

 今日の受験偏重教育は、高等教育としての大学のあり方に起因する。現在の大学は教育機関と研究機関の二面制を有してゐるが、我が国の将釆及び教育のあり方から鑑みて、大学は研究機関としての性格づけが必要である。研究したい者や専門知識を身につけたい者のみが進学する制度に改められることによつて(卒業・進級が難しい授業内容制度)、受験の質的緩和がなされる。大学院は、より高度な研究機関として一層の充実を図られなければならないが、屋上に屋を重ねる大学院大学は不必要となる。又、国公立大学の民営化は、研究尊重の立場から採用しない。

◎教員養成と待遇

 現在の教員養成制度は、教員としての人間性や社会性等の面でその適性を判定することが難しいので、学校卒業後の一定期間を社会活動に充て、その後に正式採用する制度に改める。採用後も定期研修を義務づけ、常に適性及び能力を判定する。そして道徳教育専任の教員養成、課外活動指導者の優遇、教員資格のない有能者の教員採用も行ひ、教育の幅を広げる。又、初等教育では外国人教員は採用せず、中等・高等教育では採用を行ふが、採用条件による歯止めが必要である。

◎学校運営

 義務教育での学校運営は学校・保護者・自治体によつて行はれるが、三者の立場は同等であり、PTAを利用する態の今日の学校運営のあり方は再検討を要する。そして義務教育教科書は国定とするが、高校での使用教科書は国による検定を行ふ。そして教科書無償配布は物を大事にする観点から改めて、有償とする。又、学校給食は開始当初の意味が薄れてをり、情操教育の観点からそのあり方を検討する。

〈社会教育〉

◎学歴偏重社会風潮の是正

 我が国の学歴偏重の風潮は、本来の教育目的とは無関係であり、教育のあり方さへも歪めてゐる。よつてこの風潮を増長させる教育のあり方や社会的諸制度を改め、どの学校を出たかではなく、何を学んだかによつて人物が評価される社会のあり方を目指す。その結果として、いぢめや不登校などの解決も図られる。

◎社会奉仕活動

 阪神淡路大震災では多数の人々が救援活動に携はり、地域の繋がりと社会奉仕活動の重要性が認識された。戦後の誤つた個人主義や拝金思想を正し、人と人との助け合ひを大事にする健全な社会を目指し、福祉・医療・自治等の様々な分野での家庭や地域に根ざした社会奉仕活動を促進する。但し、社会奉仕活動を点数化し、学校教育に持ち込むことは活動の趣旨に反するので、改めなければならない。

◎生涯教育

  国民の平均寿命の伸びにより、様々な分野で様々な目的を持つ生涯教育の必要性は増々高まつてゐるが、これからの長寿高齢化社会では生涯教育の質の高さが求められるとともに、その結果を社会に生かす制度が必要である。

〈家庭教育〉

 戦後の教育風潮は、本来家庭で行ふべき躾までも学校教育に依存してをり、学校教育と家庭教育の役割分担をはつきりと分けなければならない。家庭での躾とは、社会に出て恥ずかしくない礼儀作法や教養を身につけ、人としての身の処し方を教へることであり、親としての義務である。しかし現代では、家庭教育を自信を持つて実行できる親への教育が緊急に必要な世相である。