『国防・外交』政策方針

維新政党・新風本部政策委員会
平成九年二月

【国防】

〈戦後国防政策の現状〉

 戦後の我が国は、占領政策によつて強圧的に制定された現行憲法下、独立国家としての自主的国防体制は否定され、軍事を政策することを忌避する国家社会の基本姿勢が常識とされてきた。そして、我が国の安全保障は、米国によつて庇護保証されることを当然とするか、平和を念仏の如く唱へれば自動的に平和な国際環境がもたらされるとするか、いづれにせよ他者依存の甘への精神構造が今日に至るまで牢固として国民精神を呪縛し続けてきた。米国の恣意によつて発足させられた自衛隊をめぐる合憲・違憲の不毛の論議は、現行憲法を肯定的前提としてをり、国防についての国家としての基本を無視したまま日米安保条約の是非論に終始する今日の現況を結果してゐる。

 先年、ソ連邦の崩壊によつて東西対立といふ国際政治構造の大枠が消滅し、新たな国際秩序を求めて内外環境は流動してゐる。亦、我が国の竹島や尖閣諸島をめぐり、韓国・中国・台湾が由なき領土主張を行ひ、北方領土と共にそれらが重要な政治課題として浮上してきた。今日、我が国が、戦後体制を克服して名誉ある独立を冀求するならば、憲法問題をも含めた新しい国防のあり方が求められてゐる。

〈国防の基本理念〉

 軍とは武力を保持する国家唯一の組織であり、それ故に国軍の存立目的は国家・国民にあつては常に明確にされてゐなければならない。国軍は国家機構の一部を成すものであつても、その目的は時代の変遷によつて変化する政府=政体を護るものではなく、我が民族の歴史・伝統によつて形づくられた国のあり方=国体を護るものである。それによつて国家の独立、国民の安全、領土の保全などの目的が生まれる。

〈統帥権と指揮権〉

 我が国の国体を体現されるのが元首たる天皇であり、吾等が制定する新憲法においては統帥権は天皇に帰属する。天皇は国家意志の源泉であり、それは国軍の精神的統合の源でもあり、栄誉の授与者である。国軍の指揮権は天皇より内閣に委任され、内閣総理大臣が行使する。指揮権の行使は国家意志の発動であり、その原則は政治優位(シビリアンコントロール)である。従つて、指揮権を掌握する内閣総理大臣は、国家意志の発動によつて引き起こされる全ての事柄について責任を負ふ。

〈法制上の位置付け〉

 憲法改正時において、自衛隊を改組して国軍を創設し、憲法に国軍の存立と目的を明記し、国家からは名誉を、社会からは尊敬を受ける地位に置く。そして、一般刑法とは異なる軍法を制定して軍法会議を設置し、新たに戒厳令・有事法・防諜法なども制定し、国防の円滑な遂行ができるやう、法体系の整備によつて社会制度の改善を進める。

  兵役は国民の権利であり義務であり、国民皆兵が原則であるが、志願制をも含めて法律の定めるところにより国民は兵役を負ふ。又、国民はその青年期に選択的に国防に関する任務につく制度を設ける。

〈国家機構上の位置付け〉

 国家の基本要件としての安全保障政策を遂行する上で、現在の防衛庁の如く内閣の外局としての国家機構上の位置づけでは、国家の支柱としての責任は全うできない。従つて、庁から省に昇格させ、名称の変更、目的に沿ふ組織改編、権限の付与を行ふ。そして有事に際して、海上保安庁・警察庁・消防庁などの行政機関の組み入れ、補助活動が可能となる施行細則を決定して連携体制を緊密にし、平時においても危機管理の一助とする。

  また、これまでの文官優位を正して文官武官の対等化を促進し、統幕議長他を認証官として叙勲や待遇を改善し、殉職・戦死に対する国家補償制度を設ける。

〈安全保障上の施策〉

  新憲法制定後は、現在の「国防の基本方針」「防衛大綱」を根本的に見直し、従来の専守防衛型の防衛政策から能動的国防政策への転換を図り、集団安全保障(日米安保条約他)を前提として国連PKO・PKF活動への参加を行ふ。

 現在の日米安保条約のあり方は様々な問題を孕んでゐる。新憲法制定後は、先づ日米安保条約の完全な双務化によつて在日米軍基地を縮小し、我が国の独自防衛を主に、米国の援助を従としなければならない。又、我が国の安全保障のあり方を考へる場合、日米二国間のみの軍事協定では不備であり、特にアジア地域における安全保障体制を模索することによつて戦争や紛争が起こりにくいシステムを築くことが必要である。

〈軍事上の施策〉

 新憲法制定後は、新国軍として、新安保政策に沿ふ統幕の権限強化、三軍の再編・装備の充実を行ひ、領土・領海・領空侵犯に対し、断固とした対応ができるやう国防行動規定を明確にする。そして、駐在武官等の派遣及び独自の通信衛星を含む情報・通信体制を強化し、食料・燃料・弾薬備蓄の増大、運輸・生産などの後方支援体制の充実、予備役制度・民間防衛制度の強化を図る。又、各種学校の充実と再編を図り、階級呼称等を復旧する。

  軍事技術の開発は国際関係を睨みつつも、全ての分野で可能な限りフリーハンドを得るべきであり、核兵器についても廃絶を目的としつつも、我が国の独立自尊のために保有の権利まで放棄しない。

〈教育上の施策〉

  新憲法制定後は、義務教育では自分の国は自分で守るといふ国防教育及び団体訓練、高等教育では平和を守るための安全保障講座の開設を進め、社会教育としての国防思想の普及のために一般国民に広く安保・軍事を学ぶ場を設ける。

〈当面の国防政策改善策〉

  憲法改正が当面見込めない現状の中で、維新政党・新風としては既成政党の国防政策が完全に行き詰まることを問題提起すると共に国防思想の普及に努め、憲法改正の機運が盛り上げることを当面の国防政策活動とする。



【外交】

〈戦後外交政策の現状〉

 我が国の戦後外交では、現行占領憲法下、戦後体制容認の保守政権によつて平和主義・国連主義が標榜されてきた。しかしその実態は、対米従属による経済的利益のみを追求した一国平和主義に過ぎず、独立国としての矜恃は無視され、世界の国々からは「精神なき国家」と評されてきた。冷戦終結後の国際社会における外交規準は、国益確保が最優先となり、厳しい国際社会状況の中でトラブルさへなければ良しとする我が国の外交姿勢が、国家の尊厳及び国益を著しく害してゐる。

 今日の世界を主導するものは欧米の価値規準であるが、これからの国際社会はアングロ・サクソン文明のみならず、アジアや中東などの文明の多元的共存を理念とする明確な国際認識が必要である。その中で、我が国独自の文化文明の擁護を大きな目的として、国益の確保を図る外交の確立が喫緊である。そのためには孤立を恐れず、国家の目的を実現しようとする力、即ち国家意志の確立が最重要前提である。

〈外交の目的〉

  外務は内務の延長上に位置するものであり、外交は外務の最先端に位置する。その目的は政治・経済・安保などの分野における国益の確保と擁護、在外邦人の生命・財産の保護であるが、今日においては自由主義などの国際的に共通する価値観の擁護も挙げられる。

〈外交の基本姿勢〉

 国際社会とは、歴史観・価値観の異なる国家によつて構成されてをり、それを認めた上でなければ国際ルールは成立し得ない。従つて、外交の基本姿勢は外国の干渉を許さず、国家の主権を守り独立国家としての名誉を断固として守るものでなければならない。又、現在の国際社会において、国際法や国際的ルールは一定の効果を持ち始めてゐるが、そのルールを遵守させるものは軍事力であり、力の裏付けのない外交は無力である。

  即ち、現行占領憲法の桎梏から脱却することなしでは本来の外交姿勢の保持は覚束ない。

〈外交の基本方針〉


 我が国の外交基軸は、将来においても米国との協調が重要ではあるが、当然のことながら独立国家として主体的な国益外交が大前提であることは論を俟たない。資源・エネルギー・戦略物資の安定供給の確保や対外企業活動を支援するためには、アジア・アフリカ・中南米の友好国とは様々な分野での関係強化を図り、非友好国への対応策が重要である。これからの我が国はアジアの安定と繁栄のために、これまで以上にアジア地域への積極的役割を果たすといふことが外交の重要な柱となる。東西冷戦終結後は、イデオロギーによる外交は終焉し、国益がぶつかり合ふ、厳しい国際社会の現実である。経済成長の著しいアジア地域においては、日米欧の利害の衝突が既に生じつつあり、特に中国・米国・日本の関係は微妙なものがある。我が国のアジア外交の要諦は、対中政策に帰結する。中国の覇権には対峙し(台湾独立・チベットウイグル地区独立を支持)、膨張政策には警戒が必要である。対朝鮮半島に対しては、北朝鮮の非道に手を貸すことなく現体制の崩壊に冷静に対処すべく準備し、韓国の対日姿勢へは国交断絶を辞せず断固たる意志表示(竹島問題・過去の歴史認識問題について)を示す。

  国家財政多難な折り、ODAを外交戦術の中で見直して、NGOの位置付けを含め援助の効率化を図る必要もある。

〈外務省の改革〉

  現在の「省益あつて国益なし」の外務省の現状が糺されなければならないが、外務省の国際情勢の動向把握や海外邦人の危機管理のあり方は、外交目的に鑑みて不徹底であり、情報収集能力・分析能力・対応策の向上を図るための機構改革が必要である。

〈領土問題〉

 北方領土(全千島列島)・竹島・尖閣諸島は、歴史的事実として我が国固有の領土であることは明白であり、ロシア・韓国・中国・台湾の領有権主張は断固排さねばならない。紛争の解決に時間はかかつても、我が国の主張が正しいことを国際社会に認識させ、公式・非公式にも制裁・威嚇を含めたあらゆる施策・手段を行使して、実効支配の実を挙げることが肝要である。

〈国連改革〉

 国連はその創設時の目的を見直して現在の存在意義を再確認し、その機能を充実させることによつて、国際紛争の調停や解決、世界共通の課題克服のための国際機関として発展させることが、我が国にとつてもより良い方向である。その施策として、安保理・常任理事国は総会において選出し、常任理事国を固定したり特別な権限を与へるべきではなく、常任理事国の定数は再検討する。そして、大国による国連利用を抑止する施策を行ふ。又、我が国の常任理事国入りは国内体制の改善(憲法改正)が前堤である。