『政治』政策方針

維新政党・新風本部政策委員会
平成十一年八月


 我が国の政治制度(政体)の原則は、歴史的に為政者は常に天皇の親任によつてその正統性を保証されるといふ、国体に基づく国家統治原理にある。そして、我が国の近代における政治理念の淵源は、明治元年の「五箇条の御誓文」に発する。この精神は、我が国体の歴史的伝統に基づく民意の尊重と独裁の否定であり、近代国家における権力分立による間接民主制代議政治、即ち議会政治と相通ずる理念である。我が党は、現代における我が国の政治制度(政体)として議会制民主政治を採用し、この理念を現代社会の諸制度に適用し、国家生成の理念に基づく法による政治を目指す。

 また、民主政治を支へる立法・司法・行政の三権分立は、近代西欧の文化的価値観に基づく分権統治形態として有効なものであるが、我が国の如く西欧とは全く異なる価値観を有する国家の運営に適用するには不足がある。よつて、我が国の政治風土や国民的思惟方法においては、三権に監察を加へた四権分立とすることも考へられて良い。

【議院内閣制】

 我が党は、国民が議会を、議会が内閣以下の行政権を統制するといふ議会政治を堅持する立場から、議会の多数党より内閣総理大臣を選ぶ議員内閣制を維持する。その内閣は、全員が連帯責任を持ち、同一の政治的見解を有する政党内閣制であり、内閣はその権限を天皇の親任の下に正統なものとする。従つて、間接民主制を否定する首相公選制は採らない。しかし、現在の国務大臣の半数は国会議員でなければならないといふ憲法の規定は、立法と行政の関係を不明確にするものであり、国務大臣は民間からの登用を原則とするべきである。また、大臣を補佐するものとして副大臣制を導入し、政務次官制を廃止することによつて、内閣主導の政治を確立する。

【立法】

 政党は主義主張を持つて政治に携はるべきであり、その立法府は国家・国民の将来を見据ゑ、その繁栄と福祉向上のために立法を行ふのが本姿であるが、今日の議会は国家・国民のための議員立法や討論の場としての役割を果たしてをらず、単に政党の権力争ひの場でしかなく、議会の権威は地に堕ちてゐる。このような議会のあり方や運営は、根本的に見直して改めなければならない。

◎議会

 我が党は、政治の暴走を許さないためにも現行の二院制を維持するが、今日の如く両院ともに政党の勢力争ひの場と化すならば、二院制の意義が問はれることとなる。あまつさえ、小選挙区・比例代表制といふ選挙制度の導入が、両院の存在目的喪失に拍車をかけてゐる。二院制の目的は、二重の審議において慎重を期し、国家・国民の損失を防ぎ、国家の安定と国民の福祉向上に寄与することにある。従つて、そこには二院の明確な差違がなければ両院相互の統制機能は働かず、健全な国政の運営も不可能となる。よつて、衆議院は現行通り国民の直接投票によつて議員を選出し、参議院は選挙によらず有識者や各界代表を議員として選任し、良識の府とする。

 議会運営には、政党間の政策を軸とした対立同意の原則、多数決の原理、妥協の原理といふ民主主義のルールが必要であるが、今日の議会ではそれらが失はれてをり、議会の目的に沿つた運営方法の再検討によつて、議会そのものの権威回復が必要である。そのためには、行政官僚である政府委員の答弁を廃止し、大臣もしくは副大臣のみに答弁を限定し、議会での討論を活性化させ、立法府の職務と責任を明らかにするとともに、審議や議決の徒らな遅延を禁ずる。また、今日では職能が専門化し、審議は委員会中心とならざるを得ないが、審議は国家機密上の必要性のあるものを除き、原則として全て公開し、自由討議制も取り入れる。

◎議員

 我が国の如く情報化や輸送手段の発達した社会において、現在の議員定数は過剰であり、国勢調査に基づいて四年毎に選挙区の人口に応じて議員定数を見直し、現在の三分の二程度に削減する。同時に、議員の職権に基づく活動を促進するために、政策スタッフや政策調査費を大幅に拡充し、議員立法などを行ひ易くする。また、議員の職務に関係するもの以外の報酬授受を禁じ、逮捕と同時に議席は抹消されるなどの内容を含む厳しい議員倫理法の制定も必要である。

◎選挙制度

 現行の小選挙区・比例代表制は、大政党には有利であつても小政党には不利な制度であり、公平であるとは言へない。民意の正しい反映、政治への新人参加を促進するためにも、衆議院選挙では中選挙区制に戻し、比例代表制を取り入れ、議員といふ人を選ぶのではなく政策を軸とする政党を選択する制度に改める。

  また、政党助成法の廃止、政治資金法の改正、政党法や腐敗防止法の制定により、政治資金のあり方や政党・議員の倫理向上、職能の強化に努める。

【司法】

 司法は法の下の公正において、国民社会の正義を明らかにし、その安定を司るものである。しかし、現代社会の急激な変化と複雑化は、犯罪発生の増加と多様化の傾向にある。しかも、国際化に伴ふ外国人による犯罪においては、我が国の司法のあり方が問はれ、司法の新しい運用と制度が求められてゐる。

◎検察機能の充実

検察は、犯罪の複雑化・多様化・広域化・国際化に対応するために、検察機能の充実強化が必要である。これらの犯罪防止には立法府による法的整備が必要であるとともに、検察での迅速な処理手続のための見直しや合理化を図る。また、巨悪を許さないといふ姿勢に政治的圧力を受けることがない施策を進めるべきである。

◎裁判の迅速化

 公正な裁判を行ふことは司法の務めであり、慎重な裁判を進める上でも三審制は維持する。しかし、近年は困難を極める長期裁判が増加し、人権問題ともなつてゐる。それらの解決には、裁判運営の改善、裁判官や職員の増員、事務処理の合理化を図るとともに、単純な刑事訴訟や少額の民事訴訟においては迅速に解決できる処理機関の設置を導入し、様々な分野を含むよう拡充する。また、近年顕著なのは、加害者の人権保護を主張するあまりに、被害者の利益や権利、そして害を被つたといふ立場が蔑ろにされてをり、法的にも警告や中止命令などを含めて被害者擁護を優先すべきである。

◎更生機能の充実

 犯罪から国民を守り、法秩序を維持するには、警察の犯罪防止とともに罪を犯した者の更生と社会復帰への対策が必要である。しかし、暴力団・覚醒剤常習者・再犯者などの矯正処置困難者の増加、高齢者や外国人受刑者の増加が深刻な問題となつてゐる。そのためには、監獄法や更生施策などの法整備、社会における経済的・精神的な更生保護などのソフト面での充実が必要である。

【行政】

 我が党は、国家のあるべき姿として小さい政府で強い国家を目標としてゐる。然るに今日の行政機構は、組織の肥大化・硬直化を招いてをり、このまま推移するならば近い将来において国際的にも国内的にも柔軟に対応できなくなるのは明らかである。従つて、行政は国民へのサービス提供と統治機能の円滑な運用を図るといふ本来の目的に徹するべきであり、同時にそれは、数合はせ的な省庁再編ではなく、それぞれの目的に合致し、行政上の必要に応じて設置されるべきであり、行政行為そのものを目的化してはならない。我が党は行政機構を根本的に見直す。

◎行政改革

 中央での行政改革は、統治機構の一環としての行政の目的と理念を再確認し、中央での政治と地方での政治の役割を見直し、行政のあるべき全体像を再検討することに始まる。そのためには、大幅な規制緩和と地方分権が必要であり、副大臣制によつて政治の官僚への統制監督を強化する。また、特殊法人や事業団のあり方を見直し、一定の年限を経過したならば、数年毎に存続を審査するサンセット制度を導入し、補助金のあり方も見直す。更に、縦割り行政の弊害を除くために国家公務員は内閣が一括採用し、採用後に各省庁に配属し、省庁を越へた人事異動、民間出向を推進し、国民の公僕としての厳しい倫理観を求めると同時に、待遇条件を含めて公務員の身分を社会的に安定したものにし、天下りなどの弊害をなくす。

 中央での規制緩和や地方分権の受け皿となるのは地方自治体であるが、今日のままのあり方では中央・地方とも行政改革の実を挙げることはできない。住民の要望とは無関係な不要不急の施設建設、政治や行政との特定の利益団体との癒着、税金の無駄遣い、公務員の縁故採用など中央以上の腐敗・非効率が存在する。従つて、地方においても中央と同時に、地方自治の目的や理念に沿う行政改革が必要である。そのためにも、地方政治での許認可権の削減や廃止、民間への業務委託などによつて公務員の削減と行政の効率化が必要である。

◎行政区分の改革

 行政改革によつて効率的な行政を目指すならば、今日の如く行政区分を細分化しておく必要はなく、行政区分の再検討も考へなければならない。基本的には市町村の合併・再編成によつて行政の効率化を進め、全体として現在の十分の一程度に統合する。但し、統合を進めるにおいては、効率のみを求めるのではなく、地域の文化的特性を十分に尊重しなければならない。

◎行政監視

  行政を監視し、健全で効率的な運用を図るのは、本来議会の役割であるが、今日の国会や地方議会がその役割を果たしてゐるとは言ひ難い。行政を監視するには、議員を選出する国民に十分な行政情報を必要とし、そのためにも国防や外交機密以外の情報公開制度は必要である。

 また、三権に監察を加へるならば、現行の検察機能、会計検査院や公安委員会の業務など、各機関の監査機能を統合することによつてより効率化を図ることができる。官僚が官僚を監視することについては批判もあろうが、公的監視制度であれ、独立法人であれ、監察は人の問題であり、国民の思惟形態を考へるならば大差はない。

【地方自治】

 我が党は、地方は広い意味での民族の活力の温床であり、地方の活性化が国家の健全さを保障するものであると考へてゐる。即ち、全国的に均一化された文化よりも、それぞれの地域の伝統や習慣といふ多様な特性に裏打ちされた地方独自の文化に価値がある。そのような価値を維持し、将来にわたつて形成する目的での地方自治や地方分権、行政区分の改革は進めるべきものである。

 従つて、地方自治法を根本的に見直す中で、中央の持つ許認可権限を大幅に地方へ移譲する法整備の推進、国税や地方税の財源を見直し、政府補助金に頼らない独自の経済体制を確立し、地方自治体独自の施策を行ひ易くするべきである。同時に、このような地方政治には、当然のこととして自治体及び住民に責任があることも自覚しなければならない。また、国防や外交などの地方自治体が関与すべきでない事項について住民投票を行ふことは、中央と地方の役割分担への干渉であり、政府の基本政策の継続性や安定を損なふものであり禁止する。更に、外国人への地方参政権の付与、公務員の国籍条項撤廃は、住民の権利と国家主権を侵すものであり、容認しない。