基本政策大綱‐民生

 日本人の勤勉性は世界の人々が認めるところであるが、今日では『労働』の目的は金銭や余暇を得るためと考へる人々が多くなつてゐる。このやうな考へは、戦後の個人主義的風潮と経済繁栄によつて生活水準が向上したことによる歪みであらう。元来、日本人の『仕事』とは、どの様な職業に従事するにせよ、その仕事を通じて社会の健全な発展に寄与しようとする社会参加の基本行為である。その中から自づと生ずる勤労倫理が我が国の経済及び産業を支へる基礎となつてをり、それが文化をも形成して来たのである。
 その様な日本国民の民生の安定は、社会の安寧を形成する上で最も必要とされるものであり、それは国民が安心して生業に従事できる環境をつくることである。今日見られる様々な社会問題は、現代社会の構造的な問題を抱へてをり、その根は深く広いが、特に日本の伝統的価値観が否定され、社会の安定を脅かすものとなつてゐる。我々は伝統的社会秩序を再評価し、より良い社会を目指すものである。

一、家制度の再評価
 元来、我が国には個人の観念は薄く、個人主義的風潮は戦後の現行占領憲法に影響されるところが多い。この憲法によつて伝統的な社会のあり方が否定され、法の下の平等といふ観点から個人の立場が最大に許容されたからに他ならないが、憲法による個人重視は社会構造としての家と対立するものとなり、社会における二重規範となつてゐる。無論、戦前の家制度が今日の時代要求に沿はぬ面もあるが、今日のやうな個人主義的価値観の極大化は最早、利己主義の域に達してをり、家族の意義さへも破壊し、慣習としての我が国の醇風美俗までもが失はれつつある。従つて、原則的には個人をもつて社会の最小単位とすべきではなく、家をもつて最小単位とすべきであり、安定した家庭生活こそが地域社会の安定につながるのである。但し、個人の保護に対する考慮もまた重視されるべきは当然である。
二、地域共同体の回復
 地域共同体とは、家族が生活する上で日常的に密着した社会である。地域共同体は本来、相互扶助の精神をもつて自らの共同体を守り、行政への要求、防犯、防災等の自治活動を行ふものである。しかし、今日では行政の下請け組織と目され、或ひは個人主義的傾向による無関心層の増大により共同体の持つ本来的な意味が失はれつつあり、再構築が必要である。
三、社会保障制度・医療制度のあり方
 我が国の社会保障制度は、労働保険、生活保護、公衆衛生、年金、障害者福祉等の行政が相互に関連しながら、総合一元的に運営される仕組みとなつてゐる。
 社会保障は国が責任をもつて実施する制度であり、その対象は社会を構成する全ての国民に給付されねばならないが、少子高齢社会の到来と共に国家・地方双方の巨額財政赤字の中で改めて社会保障制度の再編成が必須となりつつある。家制度の見直しやボランティア制度を含めた自助・互助の相互的福祉の在り方や負担の在り方を模索して我が国独自の社会保障制度を探究すべきであらう。又、医療費の高騰が財政赤字の一因でもあり、医療制度も国民皆健康保険制を維持しながら介護制度を包含した新たな制度への改革が必要とされてゐる。